アピアランスの破線機能を使った放射状のオブジェクトの作り方【Illustrator(イラストレーター)】

アピアランスの破線機能を使った放射状のオブジェクトの作り方

この記事の前提条件

対象: Illustratorデスクトップ版(掲載キャプチャは旧バージョン)

円の線幅を太くして破線にすると、中心から光線が伸びる放射状の図形を作れます。線の本数や太さを後から調整でき、告知バナーやチラシの背景に使えます。

例えばポップなセール告知バナーの背景を賑やかにしたい時「NEW」「注目」などのアイキャッチ要素の後ろに視線を集めたい時手作り感のあるイベントチラシの装飾に使いたい時など、単色の背景に一手間加えたい場面で活躍するテクニックです。

1. 円を作成する

まずツールパネルの長方形ツールを長押しして楕円形ツールに切り替え、円を作成します。Shiftキーを押しながらドラッグすると、縦横比が同じきれいな円になります。今回は100pt × 100ptのサイズで作成します(アートボード上でクリックすると数値を直接入力することもできます)。

楕円形ツールでShiftキーを押しながら正円を作成している状態

2. 線を「破線」に設定する

円を選択し、【ウィンドウ】→【アピアランス】で塗りを「なし」にします。【ウィンドウ】→【線】を開き、線幅を100pt、線の位置を中央、線端をバット線端(端を延長しない形)、プロファイルを均等にします。数値欄には単位付きで入力すると取り違えを防げます。破線にチェックし、最初の線分を10pt、間隔を10ptに設定してください。線分は光線の太さ、間隔は光線同士の隙間に対応します。

アピアランスパネルで線幅を円の直径と同じ数値にし破線を設定している画面

線を中央に配置すると、100ptの線幅の半分が円の内側へ広がり、直径100ptの円の中心まで届きます。外側にも広がるので完成図形の外径は元のパスより大きくなります。丸い端で線がつぶれる場合は線端を、隙間が消える場合は破線と間隔を確認してください。

線を破線に設定した直後にできた放射状のオブジェクト

3. 色をつける

オブジェクトを選択した状態で、アピアランスパネルの「線」のカラーから好きな色を選びます。

アピアランスパネルの線のカラーパネルから色を選択している画面

4. 完成

これで放射状のオブジェクトが完成です。単色の背景の上に置くと、こんな雰囲気になります。

完成した放射状のオブジェクト
単色の背景に放射状のオブジェクトを重ねたアイキャッチ例

補足: あとから拡大・縮小したい場合の注意点

「線幅と効果も拡大・縮小」がオフのまま円だけを拡大すると、下の画像のように中心に穴が空いてしまいます。これは、線の太さ(円の直径分)が拡大に追従せず、元のサイズのまま固定されてしまうために起こります。

拡大すると中心に穴が空いてしまった放射状のオブジェクト

まず【ウィンドウ】→【変形】のパネルメニューで「線幅と効果も拡大・縮小」をオンにしてから拡大します。これなら破線を編集できる状態を保ってサイズ変更できます。メニューの表記はバージョンにより多少異なります。以下は手動調整・パス化による代替方法です。

対処法1: 線幅の数値を手動で調整する

円を拡大した後、アピアランスパネルの線幅の数値を大きくしていくと、穴が閉じていきます。手順2で説明した通り「線幅=円の直径」が基本ルールなので、拡大後の円のサイズに合わせて線幅も再計算して入力しましょう。

線幅の数値を調整して中心の穴を閉じた状態

対処法2: パスに変換してから直感的にリサイズする

数値計算が面倒な場合は、オブジェクトを通常のパスデータに変換してから選択ツールで直感的にリサイズする方法もあります。

  1. 元の円を複製し、編集用の元データを保存する
  2. 複製を選択し、【オブジェクト】→【分割・拡張】で線を図形にする(効果を追加済みでこの項目が使えない場合は先に【アピアランスを分割】)

これで、選択ツールのバウンディングボックスをドラッグするだけで、穴を開けずに直感的にリサイズできるようになります。ただしこの変換後は、線の本数や間隔といったアピアランスの設定を後から編集できなくなる点に注意してください。デザインが確定してから最後に行う変換、と考えておくと安心です。

応用編

ランダムな放射状オブジェクト

破線の複数の「線分」「間隔」に異なる値を入力すると、不均一に見える放射状のオブジェクトも作れます。指定した数値の並びが繰り返されるため、自動的なランダム生成ではありません。太さや間隔がバラバラなことで、手描き風の柔らかい印象に仕上がります。

破線の間隔と線分をランダムに設定した放射状のオブジェクト

渦巻き状にアレンジする

うねりツールは、ダイアログを閉じただけで図形全体に角度を適用する機能ではありません。元データを複製して線を図形化し、うねりツールのブラシを対象部分に当てて変形します。Adobe公式の設定名は「旋回量」で、回転の速度と方向を決めます。下の旧作例と同じ渦を再現するには、ブラシ範囲・強さ・操作時間の追加検証が必要です。基本の放射状図形が目的なら、この応用操作は省略して構いません。

うねりツールで渦巻き状にアレンジした放射状のオブジェクト
渦巻き加工前の編集用コピーを残す

うねり加工用に線を図形化した後は、元の円の線幅・線分・間隔を数値で編集する状態へは戻せません。加工前のコピーを残し、変形が強すぎた場合は取り消してから調整してください。

まとめ

  • 円を作成し、線幅を直径と同じ数値にして破線を設定するだけで放射状オブジェクトが作れる
  • 拡大縮小で穴が空いた場合は、線幅の再調整、またはパス変換してからのリサイズで対処する
  • 間隔・線分の数値をランダムにすると手描き風、うねりツールを使うと渦巻き風にアレンジできる
  • パスに変換すると直感的にリサイズできるが、以後アピアランスの設定は編集できなくなる

円1つとアピアランスパネルの設定だけで作れる手軽さながら、応用の幅が広いテクニックです。バナーやチラシの装飾に、ぜひ活用してみてください。

仕様確認:Adobe公式の線の設定線と効果を含む拡大・縮小うねりツールの設定(2026年9月7日確認)。